この道23年。松木店主の妙技
大判の黒塗りに盛り込まれる八寸。ひと目に絢爛な印象を与えながら、どこまでも削ぎ落としをかけた抑制美が心を打つ。食べ進めに一連の流れを見出す椀は、船泊の昆布は長さを鑑み、枕崎の鰹は削る厚みをも計りを入れ、水脈を厳選する天然水にも支えられる逸品。特別な日の食餐を優美に演出する。
歳月を経て、新たな役割を担う京町家
築100年以上という京町家。家屋の随所に配する茶道具の羽箒(はぼうき)が、店主のルーツを物語るかのよう。鰻寝床の最奥が昼夜各1組限定の座敷。格子や畳の陰影にも風情が漂い、女将が活ける摘み草に季節の妙を感じ入る。桃山志野の大家が記す書や店主が手掛けた坪庭など、見どころが尽きない。
米や葡萄。自然の持ち味が漲る
ソムリエである女将が揃える、赤白各10種以上のブルゴーニュやシャンパーニュ。納戸の奥に設えるセラーで、温・湿度共に適正な環境で寝かされる。店主が惚れ込んだ広島の酒は、純米や生酛造り、酸味の効いた希少品まで幅広く並ぶ。その全てが料理との力強い対峙と調和を主眼に選り抜いた銘酒ばかり。
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