店主との会話が、カウンターの醍醐味
魚屋の次男として家業を手伝っていたが、天ぷら好きが高じて45歳でこの店をオープンした。鮮魚の扱いと目利きはその賜物。店主自らが、ほぼ毎日築地へ買い出しに行く。天ぷらは独学で学んだ店主は、旨い天ぷらを揚げるため、未だ研鑽する日々だという。夫婦で他店の天ぷらを食べに行き、新たな食材にも挑戦し続ける。
世代を選ばず、心ゆくまで堪能できる
店内に入ると、油の残り香がしない。平成10年の開店以来、厨房を毎日綺麗に磨きあげているせいもあるが、そればかりではない。「天ぷらは揚げ物でなく蒸し物」という店主の言葉どおり、太白のごま油をオリジナルでブレンドし、軽くてサクサクしながらも、胃もたれしない工夫をしているのだ。年配の方でも完食できる。
清流の音まで聞こえそうな、職人の技
天ぷらは、一瞬で素材の旨味を閉じ込め、見た目で季節感を出す料理だ。まるで泳いでいるかのような「稚鮎」が出されると、多くの客から思わず歓声がでる。ほのかな苦みに春の訪れを感じ、食べた後で笑顔になる。「食事を愉しんでいってほしい」という店主のもてなしの思いが、細やかな盛りつけなど一つひとつに表れている。
コースのフィナーレが待ち遠しい逸品
コースの最後に供されるのは、天茶。数種の天ぷらを食べ「もう、お腹がいっぱい」と言いながらも、つい別腹に入ってしまう絶妙の味と量だ。これだけを単品でオーダーできないというのも、惹きつけられる理由かもしれない。ダシとの相性を考え、米の銘柄から炊き加減までこだわっている。お好みで天丼にすることもできる。
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