鮮魚の持ち味を極限まで引き出す
鶴橋、黒門、築地と、ネットワークは広範囲。年毎に変わる季節と産地とネタの吟味に、予定調和にはいかない海流を捉えるのは、10年以上の歳月を経て信頼を構築した各市場の卸たち。壱岐や大間などの鮪は真空で氷水へ、明石や瀬戸内などの白身は適度な塩を当て、握る瞬間を静かに待つ。
陶酔の美食空間
東心斎橋の路地裏に佇む、一軒建ての外観。暖簾には店主の背景を物語る“尽誠”の屋号を記す。全6席の店内は全てカウンター。檜の一枚と檜のまな板がフラットにつながり、息づかいまで伝わる近さで仕事が運ばれる。心地良い緊張と高揚や、時折り弾む店主との掛け合いも味わい深い。
旨味の高まりを促す木製氷室
東京の大工が手掛けた木製の氷室。内部には氷柱を配する。平目や鯛などの白身はこの一機に保管し、一晩かけて熟成を促す。除く水分と保つ水分の絶妙なバランス、それを適えるのは冷蔵庫では成し得ない理想的な温・湿度。開ける度に流れる柔らかな冷気が、期待を大いに高めてくれる。
kcav300
© Gurunavi, Inc.